2022/12/10 07:00


「帰ってきたね」

当日、そんな言葉を何度も聞きました。

Labではあらゆる人が集まり、日々あらゆる出会いが生まれています。そこからあらゆる挑戦が生まれ、あらゆる夢が実現されています。

コロナ禍となり、世の中が一変すると「人が集まる」ことが以前より減りました。人と人との出会いを大切にするLabは、その"現場の力"を再確認する期間となりました。
そして、2021年10月1日。Labはよりコミュニケーションが生まれる場に生まれ変わりました。一緒にごはんをつくり食べられるキッチン。コーヒーを飲み立ち話をするカウンター。大きな本棚は本との対話、そして会話のきっかけに。

そうして迎えた6周年当日。さまざまな人が20個以上のイベントを開き、70人以上が集まったLab。コロナ前の3周年と同じくらいの熱気がLabに戻ってきました。熱気に包まれた12月1日の様子を振り返ります。


朝7:00。
朝もはよからカレーラーメンの仕込みが始まりました。スパイスを使った料理をつくってくれた東さん、豚骨醤油ラーメンをつくってくれたぷーさんは、前々日から機材や材料の搬入をしていました!


仕込みのかたわらでコーヒーミーティングがスタート!朝から「はじめまして」「ひさしぶり」が生まれていました。


コーヒーミーティングと並行して「ゼロゲン」の略称でおなじみ、木曜0限理科実験室【ねるねるを作る会】を開催!4, 5人分の大きな『ねるねるねるね』をみんなでつくりました!ひさしぶりの知育菓子にみんなわくわく。


10:00からは木曜2限大学院生座談会【博士トーク】!博士卒のゆーみるしーと、来春から博士課程に進むなかじ、編集長の3人で、なぜ今の分野に進んだのか、博士のお金事情などのリアルを話しました。

6周年コーヒースタンド!この日からLabスタッフになったカイくんが2種類のコーヒーを淹れてくれました!

 
木曜3限工学準備室【ロボコンの魅力】 では、高専出身のなかじが先日行われた全国大会の様子を解説!優勝したロボットの一体何がすごいのか?大会のみどころは?などを説明してくれました。


そんな最中"KHAOS"3人展の展示が開始。Labの壁がアートで彩られました。


窓ガラスがくもるほどの熱気。この時間から夜まで、暖房はつけていません。


ラーメンの製麺も開始!粉を配合するところから。


きりちゃんのお灸体験。気になる体の症状で、お灸をすえる場所を決めます。私は肩こりに効くという場所で体験しました!


12:00〜14:00は 6周年コーヒースタンド②!今回はコロンビアとルワンダです。


米とぎ器『銀しゃり名人』の実演販売も開始!手を濡らさず、簡単にきれいに米が遂げる様子にみんな興味津々。


やさしい日本語で防災カルタをしよう!には、4歳から大人まで参加!なんと、絵札は水谷さんの手描きだそうです!


 12月のお茶会は特別編ということで、茶道の免状を持つ飯塚さんが抹茶ミルクを点ててくれました!

16タイプ診断で最高の相性の相手をみつけようではみんなでポチポチと質問に答えながらタイプを診断。けんちょんこと大槻さんがタイプごとの相性を解説してくれました!


お茶を点てている横で製麺し、その隣ではお灸体験。性格診断をしている横では米とぎ器の販売。このカオスさがLabらしさ!


カレーランチも完成!5種類のカレーが乗っています!

6周年コーヒースタンド③ はケニアとグアテマラ2種類。まる1日、ひたすらコーヒーを淹れ続けるカイくんでした。


やってみる研究室特別編!【バタフライピーで滴定実験、やってみる?】では、青いお茶『バタフライピー』にクエン酸や重曹を入れ、色を変えて遊びました!化学系の大人はきちんと「滴定実験」を。液の中のクエン酸の量を計算で求めました。


Labサイエンスカフェ#18は「科学における"現場の力"とは?」と題し、サイエンスコミュニケーターの佐伯さんとリアルとメタバースの未来について語り合いました。


ラーメンも完成!自分で製麺した麺は格別!


第2部の18:00〜23:00は《怒涛のトークイベントラッシュ!》。6名のゲストをお迎えして「教育」をテーマに対談を行いました。


ゲストは、ヒミツキチ森学園 校長の宮下 千峰さん「安心安全な場をつくろうと思ったことも目指したこともない」という言葉が印象的でした。学校をつくるときも「300人を集めたのではなく集まってくれた」と話します。自分自身が熱狂してたら伝播する、熱意が伝わるのだと語りました。一方で「ロジックで攻めた」と言う堀下。Labは人と人とが出会って何かしら化学反応が起こることで熱が生まれます。コロナ禍でリモートワークをしに来る人が増え、Labに来る人は増えました。でも何も起こらなくなった。だから机をなくし、ソファを置き、作業しにくい環境をつくりました。その結果「何かやりたい」「人と出会いたい」という人が来るようになりました。しかし「ロジックで考えると数字などクールなほうへ行ってしまう」と堀下。自分自身が熱を持ち続けることは大切にしていると言います。「一緒に何かやりたいよね!」と言ってくださっていた宮下さん。ここからまた新しい挑戦が生まれそうです!



コロナ禍でクラウドファンディング気軽に!自由に!絵が描けるシェア・アトリエを作りたい!【つくば市竹園】』を行い、みごと849,000円を集めた中島 廣さん。日々忙しく「絵を描きたい」を後回しにする人もいる中「いつか」を「いま」にできる場『art studio TEN.』をつくりはじめました。「なぜコロナ禍の今?」という質問に対して「今が大事だから!」とはっきり答えた中島さん。お酒を飲みながら描いたり、コーヒーやワインで絵を描いたりして、絵を描くハードルを下げたい、と話します。堀下は「Labは挑戦を応援する場だけれども、挑戦している人しか来ちゃいけないとは思ってほしくない。ひとつテーマがあれば来るハードルが下がると思う」と話し、それに対して中島さんは「私自身、Labに来てみたいとは思っていたが、まだ行動していなかったから行きづらかった。でも、DIYのイベントがありそれに参加したことがきっかけで来られるようになった」と話してくれました。「きっかけが挑戦だけじゃなくていい。挑戦するタイミングは人それぞれで、その人がどうするかはその人が決めること」と中島さんは語ります。ひとつひとつのピースがはまったとき、挑戦のスイッチが入る。堀下は「スイッチが入りかかっている人がアートスタジオに来てくれるといいね!」とエールを送りました。



常陸frogsの菅原 広豊さんとは『地域の未来をともに創る“One Action”の起こし方』というテーマで対談。菅原さんは、学生がチャレンジする姿を見て「僕自身がチャレンジしなきゃと思った」と話します。いろんな言い訳をしてしまい行動できていないと感じ、会社を辞めてチャレンジをしている、と言います。副業として常陸frogsに関わっていた35歳まではもやもやしていたけれど、自分自身のミッションが言葉にできた瞬間に挑戦が加速したそうです。堀下は「Labという現場に日々いて、自分自身が挑戦しているかは自問自答している」と共感しました。
常陸frogsの成果発表の場である『LEAPDAY』の今年のテーマは『One Action』。今の学生はコロナ禍での抑圧があり、課外活動が禁止となっていました。「チームビルド、空気熱量の伝播は絶対現地!現場で受け取る熱量が絶対多い」と力を込めて話す堀下。6周年の熱量の中でその言葉を実感しました。



「起業してから1年間の事柄をわずか3日間で体験することができる」Startup Weekendのファシリテーターを務める岩城 良和さん。「やってみてわかる、という人口をCommunityにふやす」ことを目指していると言います。堀下は「これに尽きる!」と力を込めます。「Communityという単語は人と人とのつながりで、人が止まっていたらコミュニティはできない」と岩城さん。「『ほっとけば人は学ぶ』というのが大切で、ファシリテーターは行動をエンカレッジ(勇気づける)する人」と自身を表現しました。コミュニティとお金の問題にも話題が広がります。Startup WeekendもLabも「Actionしてもらうためのしくみ」であると堀下。Startup Weekendはメンターが手弁当で来ている一方、参加者からは参加費を取っています。一方でLabも「Labに来る」というジャッジをしてくれた人をすべからく平等に扱うため、利用料を取っています。岩城さんは「お金を払うことは『自分がこれをやる』というジャッジになる」と語ってくれました。
最後に「世の中、諦めている人が多い。それは行動できていないから。その諦めの海から人を引き上げたいのでファシリテーターをやっている」と締めくくりました。



Edcamp茨城を主宰しているつくば工科高校教諭の平嶋 一輝さん。自身の経験から「もっと先生が先生以外とつながれる場をつくりたい」と考えたそうです。平嶋さんは「先生たちと『レール』の外の生き方を一緒に学びたい」という想いを語ってくれました。学校の先生こそサードプレイスが必要だという点に共感し「Labは教育事業を行うメディアである」と堀下。いろいろな大人を知るきっかけになる場所だと考えているとのこと。「大人とのやりとりが少ない学生は少なくなく、そのやりとりの差が就活に出ると感じている。先生も、日々の業務の中で出会う人が偏りがち。学校の先生にも幅広い大人と出会ってほしい。」と語りました。
「生徒たちと一緒になって計画を立ててひとつのものをつくることが大好き」と話してくれた平嶋さん。常陸frogsの『LEAPDAY』にも生徒たちと参加するそうです。「どんどんいろいろな経験をさせてどんどん尖らせたくて。それがまた楽しくて」と笑顔を見せました。Edcampの次回の開催は12/17(土) 13:30〜16:30、つくば市の市民ホールやたべにて。学校の先生と先生ではない人が一緒にディスカッションすることで明日の教育への一歩になれば」と想いを語りました。
目指す先は「大人と子供が共に学び合える場をつくること」だそう。大人も子供も色々な大人の背中が見られるようなきっかけを今後もつくっていきたいと話してくれました。



最後は「あらゆる境界を融かし、未来が歓迎する環境を想像×創造する」ことを目指す株式会社とける代表の柴田 涼平さん。過去4回すべての”いつも通りの周年イベント”のトリを務め続けてきたのが柴田さんです。『願い出発』という言葉が印象に残っています。「『願いは何か?それを目指す上で現れる課題は何か?』を自分にも、関わる人にも問い続けている。課題に対する解決策が簡単に模倣できる一方、願いは模倣できないからこそ強い」と語りました。さらに「最近、想いと活動の距離は近いですか?と聞くようにしている」と付け加える柴田さん。「想いとそれを実現するための方法が乖離していないか、常に点検するようにしている」と言います。

テーマである『多様性』に関して柴田さんは「『多様性が大事』という言葉で終わらせないことが大切」だと語ります。「『融ける』の前提として『あなたのことを想像するためにも、まずは小指が触れるくらいの接点を生み出すことが大事』という想いがある」と『融ける』という言葉へのこだわりを話してくれました。「場づくりは、場の発酵で、僕たちは杜氏の役割。環境設定をして、発酵を起こす。発酵が起こるのは1年後か5年後か10年後かわからないけれど場がないと発酵が起こらない」と場づくりに対する思いを述べていました。
コロナ禍で場に集まることが悪となった際に「オンラインを活用してでもつながりをつくり続けたい」とオンライン宿泊を実施。イベントに障がいをお持ちの方が参加してくれたとき「コロナ前は無意識に宿泊対象にしていなかった方々がたくさんいることに気づき、衝撃を受けた」と話しました。


22:30〜23:00 クロージング

「当然変わっていくことと、変わらない部分はある。Lab6周年で、変化はあれど、改めて続けることの尊さを感じた」とクロージングをはじめた堀下。


「みんな等しくそれぞれのチャレンジにトライしてくれればいい。挑戦してないからと自分を卑下する必要はない。でも何かやってみたいことがあるならやってほしいと思うし、そのためにあらゆる挑戦を応援し合うためにLabという場を開き続けています。」


「挑戦することは尊いと心から思う。応援してくれる人が必ずいるし、応援できる人を紹介することはできるし、応援できる枠組みを紹介することもできる。応援のカタチがお金だったり人だったり制度だったりといろんな手段がある。その手段を1個ずつディスカッションして探っていくことはできるんです。」


「何かやりたいと思っていることがある人や、何かやりたいという人を応援したい人や、何をやっていいのかわからないと思ってる人。みんなこの場には来ていいし来なくてもいい。ただ来てくれれば必ず無条件に受け入れる場所としてLabは存在していたい。」


そんな言葉たちでLabへの想いを語りました。

1年で1番LabがLabらしくある日。「はじめまして」が生まれる日。「やりたい」が実現する日。この日の出来事は、誰かにとっての何かのきっかけになると思います。7年目に突入したTsukuba Place Lab。今日もLabは開かれています。Labスタッフの一員として、これからもLabを開き続けていきたい、そして自分自身挑戦していきたい。そう気持ちを新たにしました。今日も明日も、Labでみなさんをお待ちしています!


株式会社しびっくぱわー 青木優美

Tsukuba Place Lab

“みんなでつくる、みんなの場“というコンセプトのもと、2016年の着想から、クラウドファンディング、DIY、4日間に渡るオープニングイベント…とたくさんの方を巻き込み巻き込まれながら創業し、運営を続けてきました。創業から5年半で延べ17,000人以上もの方がご利用くださっています。「異なる価値観が出会う、アイデアを共有できる場。人と人とを繋ぎ、やりたいことを実現していくための場」を提供するため、年間350本以上、累計1,700本以上のイベントを企画運営し、エネルギー溢れる場を、まさに“みんなでつくって“育んでいます。 Labという場を通じて、より多くの人が挑戦できる社会を実現したい。そして挑戦を本気で応援し合える文化を醸成したいと考えています。Labはこれからもコラボレーションと実験を繰り返し、「あらゆる挑戦を応援する場」であり続けます。